「手先だけが冷えてしびれる!」「夏なのに手先が冷たくて動きにくい」と手先の冷えが原因で日常生活にも支障が出ていませんか?
私は小学生のころから手先が冷えやすく、プールの授業のあとは手先が冷えてしびれてしまい、次の授業は字が書けないほどでした。
大人になっても冷えは続き、冬場は常に手が冷えてしびれ、痛くなるほどで「冬が来なければいいのに」と思うほどの冷え性でした。
ですが、今では全く冷えはなくなり、逆に冬でも指先は温かく保てるようになりました。
私がしたことは、「きちんと冷えの原因を知る」「冷え対策をきちんと実行する」、この2つだけです。
長年手先の冷えと戦ってきて色々な方法を試し、効果的な冷え改善方法を見つけましたので、冷えに悩む人にその方法を伝授したいと思います。
どうして手先が冷える?自律神経がコントロール
まずは、手先が冷えるメカニズムを知っておくことが大切です。
人は体温変動が少なく、四季に関係なく一定の体温を保つようにできています。
ですので、夏は汗をかいて体温を下げ、震えるほど寒い冬は体を「震わす」ことで血流量を減少させ体温を上げ、調節しています。
この、体温調節をしているのが自律神経の中枢にある「視床下部」です。
例えば寒さの厳しい冬に、視床下部に「寒い」が伝わると、体温を上げるように指令が出ます。
視床下部からの指令を受けて、体温を上げるために体を震わせ筋肉を動かすことで体温を上げたります。
また、ぎゅっと血管を縮めることで血流量が減少し、皮膚の表面温度を下げ体内の熱が外に逃げにくくなります。
真夏の暑さが厳しい時は、冬場と逆のことが起こりますので、血管を拡張して血流量を増やし、皮膚の表面温度を上げることで熱を体外へ放出しやすくします。
また、皮膚の表面温度が上がれば汗をかきやすくなるので、汗で体内の熱を外に放出しやすくしています。
このように、人の体は自律神経の中枢にある視床下部から指令が送られ、体温を調節しているのです。
人間の生命維持機能が働くことで指先が冷える
体温調節がうまくいかなければ、なぜ手先まで冷えてしまうのでしょうか。
それは、人間のもつ生命維持機能が働くためです。
体温調節がうまくいっていない時は、まず生命を維持するために大切な臓器を守ろうとします。
人体の中で一番臓器が集まる場所は体の中心部ですので、まずは体の中心を一定温度に保とうとします。
特に冬場は体温を上げるために体内にある血液を体の中心部に集めて体温を維持しますので、体の末端にある手先には十分な血液が行き届かなくなり温度が下がるため、冷えを起こすのです。
体の冷えを感じるのは冬場だけではなく、夏場でもクーラーの強い場所にいる時や、初夏や晩夏など真夏より少し涼しくなったプールに入った時など、いつもより寒さを感じる時です。
体の冷えを感じると、体内では血液を中心部に集めて体温を維持するという現象が起こり、夏場でも手先の冷えを感じてしまうのです。
では、体温調節を司る視床下部からの指令が正常に行われない原因とは何なのでしょうか。
次項で詳しく解説していきましょう。
手先が冷えてしびれる!冷えの原因は6つ
手先が冷えるメカニズムは視床下部の指令がうまく伝わっていない、つまり体温調節がうまくできていないということがわかりました。
では、視床下部の指令が上手く伝わらない原因は何なのでしょうか。
考えられる原因は6つありますので、自分がどの原因に該当するのかチェックしていきましょう。
男性でも冷え性になる!自律神経の乱れ
まず最初に考えられるのが、自律神経の乱れから体温調節がうまくいかなくなったということです。
自律神経が乱れる原因は様々ですが、以下のようなことが考えられます。
- 過度なストレス
- 不規則な生活リズム
- 睡眠不足
- ホルモンバランスの乱れ
などが挙げられます。
過度なストレスは、興奮や活動を司る交換神経と、リラックスを司る副交換神経の2つの神経のバランスで成り立っている自律神経が乱れてしまいます。
また、不規則な生活リズムや睡眠不足も自律神経を乱す原因となり、「寒い」「熱い」の指令がうまく視床下部に伝わらなくなってしまいます。
男性は長年仕事をしている人が多く、ストレス社会の中で生きていますので自律神経が乱れやすくなっています。
また、女性で指先の冷え性が多いのは、毎月起こる生理の影響で女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経が乱れやすくなっているためです。
衣服の締め付けすぎによる皮膚感覚の麻痺
自分のサイズより小さい靴下や下着、ズボン、靴などは、体を締め付ける原因になります。
体を締め付けるということは、その部分の血流が悪くなり皮膚感覚が麻痺してしまいます。
きつい靴下を履いていると、くっきりと型が残り、脱ぐと一気に血流が流れたような熱さを感じたり、脱いだ部分を触っても感覚が鈍いということはありませんか?
これが「締め付け」です。
皮膚の締め付けがあると、皮膚感覚が麻痺してしまい視床下部からの指令が伝わりにくく、うまく体温調節ができなくなってしまいます。
血管系の疾患による血行不良
体温調節をするときに大切なのが視床下部からの指令と「血流」です。
血流を調節することで体温を調節していることもありますので、低血圧や貧血などの血管系の疾患がある場合、うまく血流量をコントロールできなくなり冷えを起こしてしまう原因になります。
筋肉量が少ないと冷えが起こりやすい
女性と男性を比べると、明らかに筋肉量が少ないのは女性です。
女性に手先の冷え症が多い人がいる原因の一つに筋肉量の少なさが挙げられます。
筋肉は動かすことで発熱し体温を上昇させる機能があるのですが、筋肉量が少ない女性は動く筋肉が少ないため、体温が上昇しにくく指先の冷えにつながってしまうのです。
冬になると寒さで体が震えることもありますが、これは筋肉を震わせることで体内の熱を上げ、体温調節をしているます。
ですが、筋肉量の少ない女性は体温が上がりにくく、冷えの厳しい冬場は指先がしびれたり痛くなるほどの冷えに襲われてしまいます。
指先が白くなるほどひどい冷えは病気の可能性も
指先の冷えは単なる冷えではなく、病気が潜んでいる可能性もあります。
これからお話する冷え対策を実行しても、なかなか冷えが治らない場合は、何か他の病気にかかっている可能性があります。
指先の冷えから考えられる病気には、先ほどお話しました低血圧や貧血だけではなく、甲状腺機能低下症、膠原病(こうげんびょう)、ASO(閉塞性動脈硬化症)、レイノー病、バージャー病、全身性エリテマトーデスなどの病気の可能性もあります。
冷え以外に下記のような症状が表れた時は医療機関を受診してください。
- 全身がむくんでいる
- 特に原因がないのに冷えがひどい
- 冷えがひどく体が重い、だるさが抜けない
- 水や氷など冷たいものに触れた後、なかなか冷えが治まらず血の気がひいていく
日々の対策で手先の冷えを改善!日常対策は体の中から冷えを解消
医療機関を受診するほどの手先の冷えではない場合、自宅でセルフケアをすることができます。
手先の冷えは、日々の生活に冷え対策を取り入れることで改善されていきます。
生活の中に冷え対策を取り入れることで、慢性的な手先の冷えが改善されていきますので、実践してみましょう。
体の中心であるお腹を温める
体の中心が冷えていると、内臓を守ろうとするため体内の血液が中心部に集まってしまいます。
そのため、末端にある指先が冷えてしまうという現象が起こるので、体の中心にあたるお腹をカイロや腹巻などで温めると、体内の体温が保たれ血液が体の中心に集まるのを防ぐことができます。
体を内側から温める食べ物やビタミン、タンパク質を積極的に摂る
食べ物によっては、体を温めたり冷やしたりするものがあります。
「秋ナスは嫁に食わすな」という言葉がありますが、これは、ナスビには体を冷やす作用があるので、嫁に食べさせて体調が悪くならないようにという気遣いの言葉です。
体を温める食べ物としては、ニンジンやゴボウ、レンコンなどの根菜類や、ショウガやトウガラシといった発汗作用のある食べ物も体を温めてくれます。
また、ウナギやピーナッツ、卵黄などのビタミンEには血流改善効果やホルモン分泌効果もありますので、血行不良の改善や自律神経の乱れをを改善してくれます。
他にも、柑橘類や緑黄色野菜に多く含まれるビタミンCには貧血予防の効果がありますし、豚肉、大豆に含まれるビタミンB1には新陳代謝を上げる効果もあります。
筋肉を作り出す良質のタンパク質は赤みの魚や肉類、大豆製品、乳製品などから摂取することができるので、積極的に摂取しましょう。
また、アルコールは一時的に体温を上げてくれますが、飲みすぎると体内の水分量が減少して血液がドロドロになり血流が悪くなりますし、タバコも血管の収縮作用があり、ビタミンを破壊してしまいますので、アルコールやタバコは控えましょう。
毎日適度に運動をして筋肉量を増やして筋肉を動かす
筋肉量が少ないと体内の熱が上がりにくくなるので、まずは筋力トレーニングなどで無酸素運動をして筋肉をつけましょう。
筋力トレーニングの中でもスクワットは短い時間でも効果が出やすいので、1回のスクワットを1分間かけてゆっくり行えば筋力が早めにつきます。
また、有酸素運動で筋肉を動かすと血行促進効果がありますので、無酸素運動と有酸素運動を日々の生活に上手く取り入れてみましょう。
リラックスできる環境を作り自律神経を正常に戻す
ストレスが原因で自律神経が乱れている場合は、リラックスを司る副交感神経の動きを活発にすると血管が拡張し血行不良が改善されます。
自分が好きなことをする時間を作ったり、森の中で深呼吸する、滝や川などのマイナスイオンを浴びに行く、好きなスポーツをする、お風呂でリラックスタイムを満喫する、アロマを炊くなど、日々の生活のなかでリラックスできる時間を作りましょう。
手湯で新陳代謝を上げる
足湯はよく聞きますが、実は指先の冷え改善には手湯が効果的です。
単にお湯に指先を入れるだけでも温かくなりますが、指先の冷えを改善するには、きちんとした手湯の仕方を知っておきましょう。
手湯の仕方
まず、2つの洗面器やバケツなどの容器を用意します。
1つの容器には水を、もう1つの容器には40度くらいのお湯を入れます。
最初にお湯に2~5分手を入れ、次は水に2~5分手を入れます。
これを5回ほど繰り返します。
手先をお湯に入れると血流が良くなるので温まり、手先を水につけると体を温めようとする機能が活性化されるので、お湯とお水に交互に手を入れることで新陳代謝が上がり手先も温まりやすくなります。
手先の冷えに効果の高い漢方薬やサプリを飲む
漢方は人が本来持っている自然治癒力を向上させてくれる働きがあるので、乱れてしまった自律神経を整え、冷えの改善にもつながります。
指先の冷えに良いとされている漢方は、葛根湯(かっこんとう)や温経湯(うんけいとう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などがありますので、薬局で購入することができます。
また、体の中から冷えを改善させたいなら、サプリメントも補助的に使うと栄養バランスも摂れる上、体を温めてくれるので冷え改善につながります。
冷え改善のサプリメントに関しては、下記の詳細記事で詳しく紹介していますので気になる人は覗いてみてください。
緊急時に役立つ手先の冷え撃退方法
日常対策を実践していても、「手先がしびれて痛い!でも今から作業しなくちゃいけないのに!」とすぐに手先の冷えを改善したい時があります。
そんな時に役立つのが緊急時の手先の冷え対策です。
比較的早く手先の冷えが改善される方法ですので、冷えで困った時に実践してみてください。
移動中でもオフィスでもできる「手の運動」で冷え解消
電車の中やバスの中などの移動中やオフィスでもできる簡単な「手の運動」をご紹介します。
指先が冷えている時は末端への血流が悪くなっているので、指先を動かしにくくなります。
ですが、手をグーにしたりパーにしたり、これを繰り返すだけで指先に運ばれる血流量が増え、血行が良くなり指先が温まってきます。
指先を動かしにくくても、グーパーはできると思いますので試してみてください。
手が温まってきたらスピードを上げていくと、より効果的です。
ストレッチで肩や首を温める
仕事柄、デスクワークが多い、目を酷使しているなど、首や肩が凝りやすい作業がある人は、首や肩の血流が悪くなっています。
指先への血液は首や肩を通ってきますので、ここで血流が悪くなっていると指先への血流も悪くなってしまいます。
首や肩が凝っているなと感じたら、肩や首を回してみたり伸ばしてみたり、ストレッチをして首や肩を温め血流を改善しましょう。
「手が温まるツボ」の指圧や指先マッサージは効果的
指先が冷えて困るという時は、手が温まるツボを押してみてください。
冷え性改善のツボは指間穴(しかんけつ)と虎口(ここう)の2つが効果的で、指の間のみずかき部分が冷え性のツボなのですが、親指と人差し指の間のみずかき部分が「虎口」、この他の指の間にあるみずかき部分が「指間穴」になります。
この2つのツボを順番に刺激していくのですが、刺激の仕方は色々で、みずかき部分をつまんで強く押し揉みをしたり、引っ張ったり伸ばしたりしてみます。
「少し痛いかな」というくらいが適切な強さですので、全ての指の間のツボを刺激していきましょう。
まず1巡試してみて、まだ温まらないと感じたらもう1巡します。
繰り返しているとだんだん温まってきますので、自分が「これくらいかな」と思う温かさまで続けてください。
ただし、食後やサウナに入った後、妊娠中や心臓疾患のある人、発熱時など体調が悪い人は控えてください。
「体調が悪い」「妊娠中」などでツボ押しができない場合は、指先のマッサージをしてみましょう。
手のひらから指先に血流を送り込むように優しくマッサージするだけでも、指先が温かくなります。
手袋など手先の冷えを解消するおすすめアイテム
指先を温めるアイテムと言えば手袋ですが、夏場に手袋をしていると変に思われてしまいますので、なかなか使えません。
ですが、指先を温めるアイテムは他にもたくさんあり、じんわりと温めてくれるオイルを使いながら、先ほどの指先マッサージや「手が温まるツボ」を押すとさらに効果的ですし、
ほかにも、手先を温めるための入浴剤や寝具など、おすすめアイテムはたくさんあります。
指先の冷えを改善するアイテムの詳しい情報を知りたいという方は下記詳細記事で詳しく知ることができますのでご参照ください。
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手足の冷えを改善する11の方法!必ず自分に合う改善法がある!
手足の冷えは、男性も女性もとても辛く、一刻も早く改善したいものです。 私の経験から考えると、手足の冷えを改善したいと思っている人は、長い間冷え性に悩んでいるのではないでしょうか。 実際、冷え性になると ...
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まとめ
女性に指先の冷え症が多いと言われますが、男性の指先の冷え性も増えてきています。
冷えの原因となるホルモンバランスの乱れや筋肉量の少なさなど、女性が起こりやすい状態が多いため、「冷え性は女性に多い」と思われがちです。
しかし、仕事で残業の多い男性はクーラーの効きすぎるオフィスで長時間過ごすことが多くなるので、自律神経を乱しやすく視床下部の指令がうまくいかなくなってしまいます。
また、ストレス社会で長年働き続けるためストレスが原因で手先の冷えが起こる男性もいます。
手先の冷えが原因で日常生活に影響が出てくる前に、女性・男性共にしっかりと冷え対策を実践し、手先のしびれや痛みのない快適な生活を送れるように早めに行動を起こしましょう。